本記事は、食品安全委員会の公開資料 および WHOの公表情報を基にまとめており、医学的アドバイスを提供するものではありません。具体的な食事改善や治療については、必ず医師や管理栄養士などの専門家にご相談ください。
目次
1. ガイドラインの概要
1-1. 発表日と目的
- 世界保健機関(WHO)は、2015年3月4日に「成人及び児童の糖類摂取量に関するガイドライン」を発表しました。
- このガイドラインは、糖類の過剰摂取により起こりうる肥満・う蝕(虫歯)などの健康リスクを抑制することを目的としています。
1-2. 推奨される摂取量
- 「1日の遊離糖類の摂取量を、エネルギー総摂取量の10%未満に抑える」 ことが推奨されます。
- さらに5%(1日約25g)以下に減らすことで、より大きな健康効果が見込めるとされています。
2. 遊離糖類とは?
2-1. 遊離糖類の定義
- 食品や飲料に添加される糖(例:砂糖、はちみつ、シロップ、果汁、濃縮果汁)
- 化学的には、**単糖類(ブドウ糖、果糖など)や二糖類(ショ糖など)**が該当します。
- 一方、果物に含まれる糖や乳製品の糖分は除外対象です。
2-2. 健康影響
- 過剰摂取は、肥満・過体重・虫歯などのリスクを高める可能性が指摘されています。
- 糖尿病・心血管疾患をはじめとする慢性疾患にも関与する可能性があるため、国際的に摂取制限を呼びかけています。
3. 世界の糖類摂取状況
3-1. 食品に含まれる隠れた糖
- ケチャップ1大さじ → 約4gの遊離糖類(ティースプーン1杯分相当)
- 炭酸飲料1缶(350ml) → 約40gの遊離糖類(ティースプーン10杯分相当)
3-2. 国や年齢による差
- ヨーロッパの成人:エネルギー総摂取量に占める糖類の割合が7%~17%
- 子どもはさらに高く、**ポルトガルでは25%**に達するとの報告も
- 南アフリカでは、都市部と農村部で**糖類摂取率が10.3% vs 7.5%**と差異があり、地域環境も影響
4. ガイドラインの意義と影響
4-1. 政策や施策への影響
- WHOの基準は、各国の栄養政策や公衆衛生施策に反映される可能性が大きい
- 税制(砂糖税)や食品表示ルールの強化など、具体的な取り組みに繋がることも
4-2. 個人の食生活への示唆
- 1日25g以下(5%未満)を目指すことで、肥満やう蝕リスクの低減を図る
- ジュース・清涼飲料水などを控える、加工食品の栄養表示をチェックして隠れた糖を確認するなどの対策が推奨される
5. 参考情報・詳細資料
- WHO公式ガイドライン(英語、約59ページ)
- WHO公式リリース
FAQ(よくある質問)
Q1. なぜ5%以下だと、さらに良いのでしょうか?
A: WHOは、5%未満(1日約25g)に抑えることで歯の健康(虫歯リスク低減)や体重管理面でのさらなるメリットが得られると説明しています。
Q2. 果物や牛乳に含まれる糖は対象外なの?
A: はい。ガイドラインが対象とするのは、「遊離糖類」であり、果物や乳製品に自然に含まれる糖は基準外です。ただし、果汁やはちみつなど加工や抽出により自由になった糖は「遊離糖類」に含まれます。
Q3. 砂糖をやめたい場合、どんな対策がある?
A: 無糖の飲料や低糖質のおやつを選ぶ、食品表示をチェックして「糖類」欄を意識するなど。砂糖代替甘味料(アルロース・エリスリトールなど)を上手く活用する手もあります。
Q4. 子どもの糖類摂取に注意が必要なのはなぜ?
A: 子どもの場合、**エネルギー比で25%**など高い割合で糖を摂取している事例があり、成長期における肥満・歯の発育への影響が懸念されます。早期からの健康的な食習慣が重要です。
Q5. シロップやジャムなどはどうしても糖が多い?
A: はい。シロップやジャムなどは遊離糖類を含む「濃縮された糖源」であることが多く、少量でも糖分を多く含むのが特徴です。使用を控えたり、糖質オフ製品を検討すると良いでしょう。
まとめ
- WHOのガイドライン(2015年)では、遊離糖類の摂取をエネルギー総摂取量の10%未満、さらに5%未満が理想とされています。
- ジュース・炭酸飲料・加工食品などからの「隠れた糖」摂取が大きな問題で、現代社会では子どもを含む多くの人が基準を超えている可能性あり。
- 各国で砂糖税などの政策が導入されるケースもあり、個人レベルでも食品表示のチェックや甘味料選択が健康管理に繋がると考えられます。
- 今後はさらなる研究や国際的な協調により、砂糖との付き合い方が変わっていくかもしれません。
免責事項: 本記事はガイドラインの概要をまとめたものであり、医療・法的アドバイスを提供するものではありません。実際の栄養管理や健康相談は、医療の専門家にご相談ください。